交換留学の出願から合格まで|フランス交換留学(2)


ただ「行きたい」だけでは通らない


渡航まで足繁く通った国際担当窓口。お世話になりました。


さて、前回の記事では「交換留学、行ってよかった。」という率直な気持ちからスタートしましたが、今回はそこに至るまでの最初の関門、つまり「出願」について詳しく綴っていきます。

交換留学に行くと決めた日から、最初にぶち当たるのが「出願」という壁です。協定校同士が学生を派遣し合う「交換留学」において、1人の学生の派遣に対して大きく2つのプロセスの元手続きが進みます。

派遣側の大学はまず学内選考という形で限られた枠に収まるよう出願者を精査します。次に協定先の大学に「本出願」(大学が候補生を推薦)をし、あちら側の最終承認が下りれば正式に渡航が決定されるというわけです。このうち一つ目の「学内選考」が留学に行けるかどうかの9割を担っており、逆に言えばここを突破し候補生として選ばれれば、基本的に留学にいけると考えて良いでしょう。

ということでこの記事では、私が実際に経験した学内選考をどう戦略的に乗り越えたかを、実体験ベースで赤裸々に語ります。


学内選考とはつまり、、、

学内選考において、学生は「交換留学の候補生に選ばれる」というミッションがあるのに対し、大学側は「協定校に送り出す候補生を選定する」というミッションがあります。言われてみると当たり前のことですが、この大学側のミッションを念頭に選考に臨むことは非常に大切です。

それは、いくらある学生が優秀で留学に行く資格があるのが真実だとしても、選ばれるのは「学内選考」という制度的な枠組みの中で最適な人であるからです。

では、大学側のミッションとはなんでしょうか?

ここには多少僕の主観が入っていますが、学部における交換留学において大事なのは、うちの大学が「協定校に自信を持って送り出せる学生かどうか」を判断することです。

もちろん、留学の志望理由、学生の成長、学業の内容などが重視されるのは前提として、この学内選考が協定校同士の連携体制、そして大学の学業の発展といった規模の一部に属していると考えればこの条件が外せないのは明らかだと思います。

上記を念頭に置いた上で私は学内選考に臨みました。なお、私の場合選考は書類選考1本勝負でした。コロナの影響もあったのだと思いますが、面接なしということで、いかに文字だけで表現するかということに悩まされました。


志望理由書の構成:使ったのは「過去→現在→未来」の型

私の大学では、次の3つのテーマに沿って、日本語とフランス語の両方で記述する必要がありました:

  1. 留学志望理由

  2. 学習計画

  3. 志望校別動機(※志望順に複数校選べる方式)

私は「第1志望しか行きたくない」と決めていたので、1校のみで勝負しました。

出願書類の中で最も分量が多く、重要なのが留学志望理由ですが、特にこだわったのが構成です。

私はこのようなフレームで書きました:

過去」:どんな経験があり、どんな想いを抱いたのか
現在」:今の自分は何を目指していて、なぜ留学が必要なのか
未来」:留学後にどう生きたいのか、社会にどんな価値を生みたいのか

このフレームにしたのは、そうした本質をちゃんと形にしたかったからです。

なぜこの型が有効なのかというと、「論理性」と「オリジナリティ」がバランスよく備わっているからです。

論理性だけでは「きれいだけど心に残らない」文章になりがち。
一方オリジナリティだけでは「面白いけど説得力に欠ける」文章になることがあります。

だからこそ、時系列で一貫したストーリーの中に(=論理性)、自分だけのエピソードを組み込む(=オリジナリティ)ことが大事です。

この掛け合わせによって、選考側が「この学生は候補生としてふさわしい!」と思える強い印象を残せます。

また、私はまず日本語で納得のいく文章を仕上げることから始めました。

その後日本語版をベースにフランス語版を作成したのですが、母語でしっかり整理してから翻訳したことで、結果的に精度の高い文章になったと思います。


本気度を伝える工夫


志望校のホームページを読むのもかなりフランス語の勉強になりました!


志望理由で重要なのは、論理性とオリジナリティに加えて、「本気度」も問われています。

面接があれば熱意なども伝わるかもしれませんが、それがなかった私は以下のようなことを意識しました。特に「学習計画」や「なぜその大学なのか」という点で重要です。

  • 協定先の大学のホームページからシラバスを確認し、授業を徹底的に分析する

  • 課外活動などを含め、キャンパス生活を具体的にイメージし、自分の志望動機と結びつける

  • 「なぜその大学なのか」という点を徹底的に差別化する

  • 留学した先輩に話を聞く、報告書などを読むなどして、動機を深掘り・精緻化する

→ これによって、「なんとなく憧れてるだけ」ではない、実行可能な計画が書けるようになります。


締切3日前まで、とにかく見直し。

文章作成で一番大事なのは、時間をとって多くの視点で見直しをすることです。

私は一度書き終えたあと、提出まで時間があったので、毎朝10分ほど頭がフレッシュな状態で原稿を見直していました。やってみるとわかりますが、本当に毎回訂正ポイントが見つかります。

誤字脱字はもちろん、文章の温度感や配置、一文の長さなど、「読む側」の視点で見ると気づけることが多いです。

できれば、他の人にも読んでもらいましょう。ただし、人それぞれ見方が違うので、鵜呑みにせず、自分の思いや方針を大事にしつつ参考にするのがベストです。



語学・成績要件


出願書類の内容はもちろん大事ですが、
足切り条件として、語学や成績の基準が設けられている場合がほとんどです。

私の場合、授業をフランス語で受けたかったため、DELFもしくはTCFの提出が求められました。私はTCFのB1を提出しました。

出願時点で語学成績が必要なので、渡航に合わせて試験を受けるのでは間に合いません。留学を決めたら、なるべく早く計画的に準備するのが鉄則です。

また、成績(GPA)にも最低基準がありました。私は問題なくクリアしましたが、協定校によっては非常に高い水準が設定されていることもあるため、必ず事前に確認しましょう


合格通知とその後のサポート体制

合格発表は約2ヶ月後。メールで通知が届いた瞬間は、素直に嬉しかったです。

ただし、実際の渡航まではまだ10ヶ月ほどあったので、気を引き締めて勉強を続けるぞという気持ちになりました。

ちなみに、募集要項には「1名」と書かれていたのですが、実際にはもう1人合格していました。一瞬「え、ミス?」と焦りましたが、大学と協定校の状況によっては定員が増えることもあるとのことでした(逆じゃなくてよかった…)。


合格後は、大学の派遣生オリエンテーションがあり、保険やビザなどの詳細な手続きの説明を受けました。

そして何より安心だったのが、大学事務のサポート体制。期限が近づくとリマインドをくれたり、必要書類を個別にチェックしてくれたりと、しっかり支えてくれました。

交換留学は、私費留学と違って大学の後ろ盾があるのが大きな魅力です。


「しゅ、就活…!?」

2年生も後半になり、いよいよ秋から留学の3年生が見えてきた頃、じわじわと耳に入ってきたのが「就活」の2文字。

「交換留学に行ったら、就活どうなるの?」と、不安になりはじめました。

確かに4年間で卒業できる交換留学だけど、どうやら今は3年の夏インターンが実質的なスタートらしい。だとしたら、留学中にも就活をしなければいけない…?

自由に満ちていた大学生活に、次の進路の影が差してきた2年生の後半。最終的にどう考えたか、どう準備したかは、また別の記事で詳しく書く予定です。


📝 出願まとめ

✅ 「過去→現在→未来」のフレームで説得力を最大化しよう
✅ 書類のポイントは「何度も見直し」
✅ 大学側のミッションを念頭におこう
✅ 語学資格、成績は計画的に!


なお、この記事が何かの参考になれば嬉しいですし、言語文化ブログでは交換留学に関するサポートも行っています。出願に際しての疑問や、添削の相談などがあれば、「お問い合わせ」からぜひどうぞ。

✈️ 次回は、いよいよ「渡航前準備」です。気持ちが高まる一方で、実はかなり地味だった手続きを振り返ります!



Next Post
No Comment
Add Comment
comment url