【丸暗記で合格】DELF B2面接対策|頻出テンプレと議論のコツで一発合格!

 「いやいや、面接を丸暗記なんて無理でしょ」と思ったあなた。――Oui et non

この記事を読み終える頃には、面接に対する不安はきっと吹き飛んでいるはずです。

確かに、ある程度の自然さは求められるので「完全に丸暗記」というのは誤りです。しかし、この DELF B2 の面接 はやるべきことが明確に決まっており、しかも準備時間も30分と長いため、十分に対策のしがいがあります。

TOEICなどと違って挑戦できる回数は限られ、しかも決して安くはない受験料を支払う試験。どうしても一発で合格したかった私は、過去問演習を重ねながら「本番でのアドリブ率をできるだけ減らす」戦略を立てました(笑)。

今回はその結果として出来上がった DELF B2 面接特化型テンプレート、そして点数を底上げする 議論のコツを公開します。振り返れば、日常会話に困らない程度のフランス語力を持っていたとしても、「議論×発表」という、日本の暗記教育ではなかなか鍛えられない分野で勝負するこの試験には、この方法がとても有効だったと感じています。

基本情報

時間30分準備、面接20分(5−7分の発表、のち議論)

試験日:会場に集団試験と別日のこともある。同日の場合前後に行われる。

面接官:二人

内容:短い記事を読み、その要点をまとめたうえで自分なりの問題提起を行います。その問題に対して複数の視点から意見を整理し、57分で発表します。その後は、面接官からの質問や反論に応じて、自分の意見を擁護したり、必要に応じて譲歩しながら議論を進めます。

 

試験の実際の流れ(私の場合@ルーアン会場)

会場によって多少の違いはあると思いますが、私が受験したルーアンでは以下のような流れでした。

  1. 集合・待機:試験の10分前に4人が同じ時間に呼ばれ、廊下で待機。
  2. 課題文の選択:面接室に入り、机の上に裏返して置かれた短い記事(15くらいあった)を2つ手に取るよう言われ、その場で立ったまま短時間で確認し、どちらかを選択。

※この選択は本当に一瞬で行うため、練習の段階から「自分なりの選び方の基準」を決めておくと安心です。

  1. 準備室へ移動:選んだ記事を持って別室へ。コの字型に並んだ長机で受験者が準備を進め、監督者が一人座っていました。入った時には既に他の受験者(3人ほど)が準備しており、静かな雰囲気でした。
  2. 準備開始〜呼び出し:準備開始からちょうど30分後に呼ばれ、再び面接室へ移動。準備している間にも先に準備をしていた受験者が一人一人呼ばれ、また後の受験者が一人一人新たに入ってくるという感じでした。
  3. 試験開始:入室すると試験について簡単に口頭で説明され(試験の流れはわかっている前提で形式的)、「好きなタイミングで始めてください」と促されました。雑談などは一切なしで、そのまま発表がスタートしました。

 

ポイント

準備時間が 30 あるという点が最大の特徴です。これは面接試験としてはかなり長い時間であり、上手に使えば大きなアドバンテージになります。裏を返せば、この30分の準備を前提とした試験設計になっているため、もし十分な準備ができなければ不利になる可能性も高いということです。

とにかく、この 30分の準備時間こそが DELF B2 面接の鍵。だからこそ、的確な対策をすれば点数を大きくカバーできる試験なのです。

 

ここからは、実際の発表で使えるテンプレートを紹介しながら、

  • 発表全体の流れをどう掴むか
  • 準備時間をどのように配分すべきか
  • 丸暗記しておくべき表現は何か

について詳しく解説していきます。

イメージとしては、準備の30分間で与えられた用紙に構成を整理して書き込み、発表ではその内容を展開していくという流れです。

もちろん、その後に行われる議論についても準備時間の中で考えておくに越したことはありません。しかし、発表の準備がしっかりできていて、テーマに関する論点が整理されていれば、議論はかなり楽に進められます。

 

導入

ここではまず選んだ記事に関する情報を簡単にまとめます。「タイトル」や「何の記事なのか?」が重要です。試験対策をしているとき「どこの記事のものか」や「日付」なども言うように指導しているYouTubeやテンプレもありましたが、試験の短い記事の紙にはタイトルと文章以外何も書いてありませんでした。

J’ai choisi le sujet qui traite de…

私は〜について扱っているテーマを選びました

Il s’agit d’un texte intitulé….
その資料は「〜」というタイトルの文章です。

 

次に要約として、著者が特に問題点として挙げている点や、どのような対立構造が示されているのかを簡潔に示しましょう。ここで大切なのは、重要な部分をそのまま抜き出すのではなく、自分の言葉に置き換えてまとめることです。

 

言い換えには類義語や、より抽象度の高い語彙を使います。

 

ちなみに、要約に限らず、論点になりそうな単語の類義語や対義語は準備の間に紙に書き出しておくことをお勧めします。議論が始まると内容に集中してしまい、文法や語彙に気を配る余裕がなくなります。しかし評価の対象はまさに語彙や表現の幅なので、準備段階での対策が非常に重要です。同じ単語を繰り返す代わりに、例えば「pollution」を「qualité de l’air」や「nuisances environnementales」と言い換えるだけで、表現に幅が生まれ、B2レベルらしい語りに近づきます。

Dans cet article, l’auteur cherche à nous montrer…
この記事で著者は〜を示そうとしています。

Il souligne également le débat autour de..
また、〜をめぐる議論を強調しています。

D’un côté…
一方で〜

D’autre côté…
他方で〜

En résumé, l’auteur met en évidence… et ouvre un débat sur….
まとめると、著者は〜を明らかにし、〜についての議論を開いています。

 

問題提起

導入を終えたら発表の中心となる問題を提起します。何度も過去問をした結果、発表のしやすさ、議論のしやすさなど総合的に判断してfaut-il… 「〜しなければいけないか」という形で問題を立てるのが最も有効だと感じました。(※個人的な結論です。)

Selon moi, la problématique que présente ce document est la suivante : …

私の考えでは、この資料が提示している問題提起は次の通りです:〜

おすすめTOP3はこちら。どの記事に対してもかなりの汎用性があります。

🥇 Faut-il limiter… ?

〜を制限すべきか?

🥈 Faut-il encourager… ?

〜を推進すべきか?

🥉 Faut-il interdire… ?

〜を禁止すべきか?

このように、問題提起を自分で立てるという点は、この試験のユニークな点であり、フランスらしさを感じる部分でもあると思います。

 

大枠提示

ここは完全に丸暗記で行きました。テーゼvsアンチテーゼというフランスのクラシックな議論の仕方を採用し、最後に簡単な結論をつける形式です。

Pour répondre à cette problématique, je vais procéder de la manière suivante.

この問題提起に答えるために、次のように進めたいと思います。

Dans un premier temps, je présenterai les arguments en faveur de cette idée.

まず第一に、この考えに賛成する立場の論拠を示します。

Puis dans un deuxième temps, je mettrai en avant les arguments qui s’y opposent.

次に第二に、それに反対する論拠を取り上げます。

Enfin, je terminerai avec une conclusion.

最後に、結論を述べて締めくくります。

第一部

一つ目の意見について3つの根拠を持ち出して展開します。ポイントは以下の通りです。

 

適切な接続詞Tout d'abord, Ensuite, Par ailleurs)

主張の要素根拠justification)

根拠の表現に幅を持たせる

 

文法的な幅>接続法を要求する表現、仮定法などはB2レベルを示す重要文法

 

論理的な幅>さまざまな角度から説得性を出すようにする。

 

par exemple, Prenons le cas de, un bon exemple serait)

 

仮定や条件imaginons que, si, à contidition que, tant que)

 

比較par rapport à, comparé à )

 

数値・データD’un point de vue scientifique, Statistiquement, Plusieurs études montrent que)

 

結果(Par conséquent)

 

譲歩からの反対Certes… cependant, il est vrai que… toutefois)

個人的意見・経験d'après mon expérience, à mon avis, personnellement)

 

Commençons donc par la première partie, c’est à dire que….

それでは第一部を始めます。つまり〜ということです。

 

① Tout d’abord, il va sans dire que…
まず第一に、〜であることは言うまでもありません。

→①の主張を裏付ける根拠

 

② Ensuite, il est essentiel de prendre en compte que…
次に、〜を考慮することが重要です。
→②
の主張を裏付ける根拠

③ Par ailleurs, il ne faut pas oublier que…
さらに、〜ということを忘れてはなりません。

→③の主張を裏付ける根拠

 

もう一度言いますが、根拠は上記に挙げた「例、仮定や条件、比較、数値やデータ、結果、譲歩からの反対、個人的意見・経験」を用いて、文法・論理双方の幅を出していくのが発表や議論を盛り上げるポイントです。なんだか多く感じますが、慣れると自然にできるようになります。私の場合、練習を始めたばかりの頃は焦って par exemple」を多用してしまい、単調な発表になっていました。

 

第一部の3つの主張を終えたら以下のように簡単に締めくくります。


Jusqu’à présent, j’ai examiné les idées selon lesquelles…
ここまで、〜という立場に基づく考えを検討してきました。

第二部

次に第二部ですが、構造は第一部と同じです。一方で接続詞や表現に関しては異なるテンプレを用意しました。

Passons maintenant au deuxième aspect, autrement dit, …
では次に第二の側面、つまり〜について進めます。

① Premièrement, si on observe la situation actuelle, …
まず第一に、現状を見てみると〜です。

→①の主張を裏付ける根拠

 

② Deuxièmement, il est pertinent de rappeler que… / il convient de souligner que…
次に、〜を思い出すことは適切です/〜を強調すべきです。
→②
の主張を裏付ける根拠

 

③ Troisièmement, on ne peut ignorer que…
第三に、〜を無視することはできません。

→③の主張を裏付ける根拠

結論

DELF B2の面接における発表では、明確で断定的な結論を出すことは求められていません。むしろ、これまでの発表内容を要約し、続くdébat(討論)に繋げるために、自分がどちらの立場により近いかを示すことが大切です。
繰り返しますが、フランス式の議論においては、結論はテーゼ(thèse)とアンチテーゼ(antithèse)がぶつかり合った結果としてのシンテーゼ(synthèse)に位置づけられます。したがって、oui  non の二面性を明確に提示し、その対立から次の議論を引き出すことが最も重要です。
これは英米式の議論との大きな違いでもあります。英米式では、一つの主張を何がなんでも貫くことに重きが置かれます。その展開は、結論 → 理由 → 具体例 → 反対意見の想定と反論 → 主張の再強調という直線的な構造になります。対してフランス式では、両論の競り合いこそが議論の核心であり、その中からバランスをとる姿勢が評価されるのです。

 

Pour conclure, cette question divise l’opinion :
結論として、この問題は意見を分けています。

D’un côté, certains estiment que …
D’un autre côté, d’autres considèrent que …
En ce qui me concerne, je crois que … D’après mon expérience, …
Voilà pour mon avis sur le sujet. Si vous avez des questions, j’y répondrai avec plaisir.

一方では、〜と考える人々がいます。
他方では、〜と考える人々もいます。
私自身について言えば、〜と考えます。私の経験からすると〜です。
以上が私のこのテーマに関する意見です。ご質問があれば喜んでお答えします。

 

発表テンプレの使い方(具体例)

それでは実際のテーマに照らし合わせてみてみましょう。

ここまで紹介したテンプレ根拠づけを使って構成しています。試験当日までに赤字のテンプレは頭に入れておき、「準備の30分は黒字を考える時間にする」ことが面接対策のゴールです。

今回は例として「街を走る車とその交通問題」が書かれた記事を選んだと考えます。

導入

J’ai choisi le sujet qui traite de la circulation automobile dans les centres-villes.
私は「都心部における自動車交通」について扱っているテーマについて選びました。

Il s’agit d’un article intitulé « Le centre-ville sans voiture : solution ou illusion ? ».
それは「車のない中心街:解決策か幻想か?」というタイトルの記事です。

Dans cet article, l’auteur cherche à nous montrer les conséquences négatives de la circulation automobile dans les zones urbaines denses, notamment en ce qui concerne la pollution de l’air, le bruit et la sécurité des piétons.
この記事で著者は、特に大気汚染・騒音・歩行者の安全といった観点から、都市部における自動車交通の悪影響を示そうとしています。

Il souligne également le débat autour de l’interdiction totale des voitures dans certains centres-villes.
また、一部の中心街での自動車完全禁止をめぐる議論を強調しています。

D’un côté, certains soutiennent que cette mesure favoriserait un environnement plus sain et plus agréable pour les habitants.
一方では、この措置によって住民にとってより健康的で快適な環境が実現すると主張する人々もいます。

D’un autre côté, d’autres estiment qu’une telle décision serait pénalisante pour les commerçants et les personnes âgées ou à mobilité réduite.
他方では、このような決定は商店主や高齢者、または身体の不自由な人々に不利になると考える人々もいます。

En résumé, l’auteur met en évidence les tensions entre écologie, mobilité et intérêts économiques, et ouvre un débat sur la nécessité ou non d’une interdiction.
要するに著者は、環境・移動・経済的利益の間の緊張関係を明らかにし、禁止が必要か否かという議論を提起しているのです。

問題提起

Selon moi, la problématique que présente ce document est la suivante :
私の考えでは、この資料が提示している問題提起は次の通りです。

Faut-il interdire les voitures en centre-ville ?
都心部で自動車を禁止すべきか?

大枠提示

Pour répondre à cette problématique, je vais procéder de la manière suivante.
この問題提起に答えるために、次のように進めたいと思います。

Dans un premier temps, je présenterai les arguments en faveur de cette idée.
まず第一に、この考えに賛成する論拠を示します。

Puis dans un deuxième temps, je mettrai en avant les arguments qui s’y opposent.
次に第二に、それに反対する論拠を取り上げます。

Enfin, je terminerai avec une conclusion.
最後に、結論を述べて締めくくります。

第一部(賛成意見)

Commençons donc par la première partie, c’est-à-dire que l’interdiction des voitures en centre-ville peut avoir des effets largement positifs sur la qualité de vie.
まず第一部を始めます。つまり、都心部での自動車禁止は生活の質に大きくプラスの影響を与える可能性があるということです。

① Tout d’abord, il va sans dire que la pollution atmosphérique reste un problème majeur dans les zones urbaines.
第一に、大気汚染は都市部における大きな問題であることは言うまでもありません。

D’un point de vue scientifique, la réduction du trafic routier a déjà montré des effets positifs dans plusieurs grandes villes européennes.
科学的に見ても、交通量の削減はすでにいくつかの欧州の大都市で良い効果を示しています。(数値・データ)

② Ensuite, il est essentiel de prendre en compte la sécurité des plus vulnérables : enfants, personnes âgées, cyclistes.
次に、子供・高齢者・自転車利用者といった弱者の安全を考慮することが不可欠です。

Prenons le cas d’Amsterdam : comparé à d'autres villes, le taux d’accidents y est bien plus bas grâce à la limitation des voitures dans le centre.
アムステルダムの例を見てみましょう。他の都市と比べると、中心街での自動車制限のおかげで事故率は大幅に低いのです。(例)

③ Par ailleurs, il ne faut pas oublier que la piétonnisation des centres-villes contribue aussi à renforcer le tissu social.
さらに、中心街の歩行者化は社会的つながりを強化する役割も持つことを忘れてはなりません。

Si les rues deviennent des espaces conviviaux et accessibles à tous, cela favorise naturellement les rencontres, les échanges, et un sentiment d’appartenance à la communauté locale.
もし通りが誰もが利用できる親しみやすい空間になれば、人々の出会いや交流、そして地域社会への帰属意識が自然に高まります。(仮定)

Jusqu’à présent, j’ai examiné les idées selon lesquelles une interdiction contribuerait à un cadre de vie plus sain, plus sûr, et plus dynamique.
ここまで、自動車禁止がより健全で安全かつ活気ある生活環境に寄与するという立場を見てきました。

第二部(反対意見)

Passons maintenant au deuxième aspect, autrement dit, les limites ou inconvénients que cette mesure pourrait entraîner.
次に第二部、つまりこの措置がもたらし得る限界や不利益について進めます。

① Premièrement, si l’on observe la situation actuelle, toutes les villes ne disposent pas d’un réseau de transports publics suffisamment fiable.
第一に、現状を見れば、すべての都市が十分に信頼できる公共交通網を備えているわけではありません。

Imaginons une ville de taille moyenne sans métro ni bus fréquent : une interdiction soudaine rendrait la vie quotidienne beaucoup plus compliquée.

例えば地下鉄も頻発するバスもない中規模都市を想像してみてください。突然の禁止は日常生活を非常に困難にしてしまうでしょう。(仮定)

② Deuxièmement, il convient de souligner que cette mesure pourrait aggraver les inégalités sociales.

第二に、この措置は社会的不平等を悪化させる可能性があることを強調すべきです。

Certes, les habitants aisés peuvent facilement s’adapter, cependant, les personnes à mobilité réduite ou travaillant à des horaires décalés seraient fortement pénalisées.

確かに裕福な住民は容易に適応できますが、身体の不自由な人々やシフト勤務者は大きな不利益を被るでしょう。(譲歩からの反対)

③ Troisièmement, on ne peut ignorer que certaines personnes n’ont tout simplement pas d’alternative réaliste à l’usage de la voiture.

第三に、そもそも車の使用以外に現実的な代替手段がない人々がいることを無視できません。

D’après mon expérience, dans de nombreuses zones périurbaines, les habitants doivent souvent prendre leur voiture même pour accéder aux services de base comme les supermarchés ou les établissements de santé.
私の経験から言えば、多くの郊外地域では、住民はスーパーや医療機関といった基本的なサービスにアクセスするためでさえ、車を使わざるを得ないのです。(個人的な経験)

結論

Pour conclure, cette question divise l’opinion :

結論として、この問題は人々の意見を分けています。

D’un côté, certains estiment que l’interdiction des voitures en centre-ville est nécessaire pour améliorer la qualité de vie et protéger l’environnement.

一方では、生活の質を改善し環境を守るために、都心部での自動車禁止は必要だと考える人がいます。

D’un autre côté, d’autres considèrent que cette mesure est trop radicale et risque de pénaliser certaines catégories de la population.

他方では、この措置は急進的すぎ、特定の層を不当に不利にすると考える人もいます。

En ce qui me concerne, je crois que cette interdiction est une bonne idée.

私自身について言えば、この禁止は良い考えだと思います。

D’après mon expérience, moins de voitures rend la ville plus calme et agréable.

私の経験からしても、車が減ると街はより静かで快適になります。

Voilà pour mon avis sur le sujet. Si vous avez des questions, j’y répondrai avec plaisir.

以上が私のこのテーマに関する意見です。ご質問があれば喜んでお答えします。

 

このように太字を覚えておけば、準備の時にその間を考えて埋めていくことで、ある程度余裕を持って発表ができるはずです。実際にこれを頭に入れていた私は原稿を見るアナウンサーの要領で発表を進めることができました。

 

主張アイデアの出し方

一度テンプレを覚えると次に大事なことは適切な主張を出しながら主張を展開していくことになるかと思います。DELFのテーマはモノによってはかなり深いものもあるので前提として日常的に社会問題に関心を持っていることが求められます。運よく仕事や日常に関する身近なテーマを引けば良いのですが、過去問を見ても環境問題から政治的な話まで様々な選択肢があることがわかります。そのため、過去問や問題集をやっていくにあたり文法や単語、形式以上に内容の学習にも目を向けることが重要になってきます。

その上で私なりにテーマに対するアイディア出しを効率化する以下の方法を

提案したいと思います。つまり「テーマ」に対して政治、経済、環境、科学、社会

の5つの視点から見るというものです。

例えばIA(人工知能)に関するお題が出たとします。上記に照らしてこのようにアイディアを出すことができます。

政治の視点

  • 国家によるAI規制の強化が必要では?
  • AIによって監視社会が強化されるかも
  • 政策決定へのAI活用が便利なのでは?

経済の視点

  • 人間の仕事の一部がAIに置き換わると言われている。
  • 新産業・新ビジネスの創出につながる
  • 生産性向上による経済成長の可能性

環境の視点

  • AIによる省エネ効率化
  • データセンターの膨大な電力消費とその影響(CO2排出)
  • 環境保護への応用

科学の視点

  • 医療分野での活用(診断支援、創薬、パーソナライズ医療)
  • AIができることは何か?

社会の視点

  • 倫理問題:AIの偏見・差別的判断の危険
  • AIによって教育格差が生まれるか?是正されるか?
  • 人間とAIの共存、人間らしさとは?

このようにアイディアを出せれば、あとは表現や文法のレベルに気を使い発表を仕上げることができます。

試験まで時間に余裕がある方におすすめなのは、フランス語でさまざまな記事を読んだり、ドキュメンタリーを視聴したりすることです。そうすることで社会問題に関する知識を深められるだけでなく、そもそもDELF B2で扱われるテーマの多くは、現代に生きる人間として自分の意見を持っておくべき内容ばかりだということに気づくはずです。

その点、フランス語のメディア環境は非常に学習に適しています。たとえば YouTube ひとつとっても、ARTEのような(個人的なお気に入り)良質なドキュメンタリー番組がありますし、日本ではなかなか得られないような、多様でジャーナリズム精神に溢れた視点に触れることができます。

 

議論

面接試験の第二パートは議論(débat)です。基本的に発表の内容を軸にして面接官が自分の主張を崩そうとしてきたり、疑問を投げかけてくるのでそれに対応できるかどうかというところが見られています。

こちらは発表に比べるとぶっつけ本番感が強いですがいくつか頭に入れておくと良い表現と考え方があります。

議論展開のイメージとして(私の面接に基づくと)基本的には質疑応答の形式ではあるものの、自分から展開する姿勢も見せにいかなければならないので、完全に答えるだけではないという性質のものでした。

というのも、議論の場でありながらも語学試験の面接という場でもあるため、やはり試験管の発言に対して自分が対応するという色が強い感じがしました。

というわけで議論の対応、展開に使えるフレーズをを9タイプに分けて暗記した私の対策は概ね正解でした。以下に列挙します。

① 追加(足し算する)

質問が不完全だったり、試験官の発言に補足したいときに使います。議論の中で、面接官が意見を交えてくることがあるので、そこに対して反応するフレーズです。

  • J’aimerais ajouter que…
     付け加えたいのは〜です。
  • Il convient aussi de mentionner que…
     また〜に言及するのも適切です。
  • Cela dit, il ne faut pas oublier que…
     とはいえ、〜を忘れてはなりません。

② ニュアンス(oui, mais の典型)

相手の意見を部分的に認めつつ複雑さを示す時に使います。面接官がラディカルな意見を出してきた時に冷静に対処する方法です。

  • Il faut distinguer plusieurs aspects ici…
     ここではいくつかの側面を区別する必要があります。
  • Cela dépend fortement du contexte.
     それは状況に大きく依存します。
  • Il me semble que la réalité est plus complexe.
     現実はもっと複雑だと思います。

③ 反対(シンプルにノー)

完全に反対をしにいく時に使えます。

  • Je comprends ce point de vue, cependant…
     この見解は理解しますが、しかし〜。
  • Je ne suis pas tout à fait d’accord, car…
     私は完全には賛成できません、なぜなら〜。
  • Cela me semble discutable dans certains cas.
     場合によっては議論の余地があると思います。

④ 意見(主観を入れる)

議論が難しくなってきた時や、言葉に詰まりそうになった時の必殺技が自分の経験や意見を入れることです。等身大の意見や感覚を言うのは、アイデアの面でも文法や語彙の面でも落ち着きを取り戻しやすい技です。

  • Pour ma part, je pense que…
     私としては〜だと思います。
  • Personnellement, j’ai tendance à croire que…
     個人的には〜と考える傾向があります。
  • D’après mon expérience, il est clair que…
     私の経験からすれば、〜は明らかです。

⑤ データ(説得力UP

知識や統計を持ち出すとやはり「ぽく見える」というのがありますが、もし準備の時間に思いついたものがあればメモしておきましょう。必ずしも正確なデータではなくてもいいですが、あまりにも現実から離れていると突っ込まれる可能性もあるので注意です。

  • Les données montrent que…
     データは〜を示しています。
  • Il est bien établi que…
     〜は広く認められています。
  • Selon une étude récente…
     最近の研究によれば〜。

⑥ 例示(すぐにイメージできるとき)

これも意見や経験と同様に言いやすいのでおすすめです。

  • On peut l’observer très clairement dans…
     これは〜において非常に明確に見られます。
  • Prenons un exemple : …
     例を挙げると〜。
  • Cela me fait penser à une situation vécue…
     これは私が経験した状況を思い出させます。

⑦ 譲歩からの反対

相手の意見が妥当な時に一旦認める方法です。これはフランス式の議論において最も王道だと言えるかもしれません。

  • C’est vrai dans une certaine mesure, mais…
     ある程度は正しいですが、しかし〜。
  • Je partage en partie cette idée, toutefois…
     その考えを部分的には共有しますが、しかし〜。
  • Cela peut être valable, à condition que…
     〜という条件のもとでなら妥当かもしれません。

⑧ 広げる(余裕があるときに展開)

あえて広げて自分の得意分野に引きづり込むのもありです。

  • Cela soulève une question plus fondamentale…
     これはより根本的な問題を提起します。
  • Si on prend du recul, on voit que…
     一歩引いてみると、〜が見えてきます。
  • Ce sujet touche à une problématique de société plus profonde.
     このテーマはより深い社会問題に関わっています。

⑨ 提案する(議論を前に進める)

反対されたときに建設的な代替策を出せると高評価です。

  • Une piste possible serait de…
     一つの可能な方向性は〜です。
  • On pourrait envisager…
     〜を検討することもできるでしょう。
  • Il serait souhaitable que…
     〜であることが望ましいと思います。

私の面接時の議論内容

私は、「今の小学校は子どもたちにプレッシャーをかけすぎか」というような記事を引いて授業を減らすべきかという問題提起をしました。「減らすべき」側につくと議論の際は「授業時間だけがプレッシャーにつながっているのか?」「減らしたら今のプログラムができなくなるのではないか?」「子どもたちは増えた時間を本当に有効に使えないのでは」などの質問がなされました。

実際に私はこのテンプレを駆使し、時間以外にも評価方法や競争の環境があることを指摘したり(追加、nuancer)、技術の発展に伴うタブレット端末の導入による学習の効率化と時間の削減の可能性を提起しました(譲歩、提案)。

このように様々な角度からの対応を試みることで単なる質問に対する回答以上の議論っぽい返しができたと感じています。

まとめ

今回は DELF B2 の面接対策についてご紹介しました。
もともとは「一発合格」を目標にパソコンにメモをまとめ始めたことがきっかけでしたが、取り組んでいくうちに「どうやって議論を組み立てるのがよいのか」という点に興味が広がり、試験対策以上に楽しみながら調べを深めることができました。結果として、主張の仕方や発表の流れに意識を向けながら生活するなかで、自分なりに納得できるテンプレートや議論の進め方を作り上げられたと思います。

また、試験対策の一環として YouTube  ARTE などドキュメンタリーを視聴したことは、フランス語力だけでなく、社会に対するフランス人の鋭い視点を学ぶ貴重な機会となりました。ドキュメンタリーを通じて自然に語彙も増え、単なる試験勉強を超えて「もっとフランス語を学び、社会について考え、議論できるようになりたい」という意欲が強まりました。

ぜひ皆さんも自分に合ったやり方で準備を進め、合格を目指して頑張ってください!

Next Post Previous Post
No Comment
Add Comment
comment url