【履修者体験談】慶應法政のフランス語インテンシブコース
今回は届けたいターゲットが非常に狭いのですが、慶應の法学部政治学科のフランス語インテンシブクラスを選ぼうか悩んでいる新入生に向けて私の経験をまとめた記事になります。
第二外国語が週2回か週4回かというのが基本的な違いだということはパンフレットなどで確認できたものの、具体的にどう違ってくるのかというのは正直入学当初イメージしきれていませんでした。
私の場合、言語が大好きだったので迷わずインテンシブコースを選択したわけですが、大学という自由な環境でどこに時間を割くかは本当に人それぞれですから、少しでも悩む場合はこの記事を読んで考える材料にしてもらえれば嬉しいです。
※この記事の内容は私の経験に基づいています。制度や教材が変わる可能性もあるので細かい点は公式の最新情報を確認してください!
インテンシブコースの種類
まず、インテンシブコースというのは2タイプあります。
1つは初めてフランス語に触れる学生向けの初習者インテンシブコース(初習インテ)。
もう一つは既習者向けのインテンシブコース(既習インテ)です。「1-2年程度のフランス語学習がある者」というのが公式のコース紹介に書いてあるのを見ると腰が引けますが、私の知っている限り普通に発音ができて最低限の動詞の活用が身についているレベルくらいと考えて良いと思います。
※インテンシブコース=通称インテ
私が履修していたのは『初習インテ』です。私は実際には高校3年生の時に独学で少し勉強していたのですが、大学で複数言語を履修しようとしていたこともあり、負担を考慮して初習を選択しました。
初習インテには私と同じように軽い学習経験がある学生も一定数いました。高校でフランス語を独学していた人や、海外在住経験があり教養としてフランス語を少し知っているなど様々です。
なので、「フランス語の学習歴がありインテを取る場合絶対に既習でなければならない」というわけではありません。インテの授業はあっという間に進むので、かじった程度の人にはむしろ初習をお勧めします。
一方の既習インテですが、内部生が多かったようです。特に慶應義塾高校や慶應女子は選択科目でフランス語があったようで、そこから固まって流れ込んでくるルートがありました。
なおインテンシブコースは週4回ですが、これを3回だけにしたり、一部を週2回のクラスにするということはできません。インテンシブコースを選択した時点で、1週間のうち4つのコマが固定されるということです。
初習インテと既習インテ
既習インテについて詳しいことはわからないので割愛しますが、1学期間だけ既習のクラスを追加でとる機会があり(これは基本例外です)、初習インテ・既習インテ間の雰囲気の違いを感じました。
いちばんの違いは先ほどあげた内部生の割合です。高校生の時にフランス語を履修していた内部生がまとまってこのクラスに入ってくることが、教室内の雰囲気としてあると感じました。(とはいえ、入学方式が気になるのは本当に1年生の4月だけなのでこれを決め手にするのはやめた方がいいです)
一方私がいた初習インテは本当に多様な学生が集まっていました。特に帰国子女や留学経験者など何かと海外を経験している学生の割合が高く、非常に刺激的でした。もちろん年にもよると思いますが、わざわざインテを取る人は言語に限らず色々と意識の高い人が多いのだと思います。
またレベル感に関して、初めはやはり差がありますが2年目の後半にもなると初習インテでがっつり勉強していればかなり差が縮まってきます。(もちろん個人差があります)既習だから特別授業の質が高いということはなく、単純に学習経験がある分少し先に進んでいるというイメージです。
インテンシブコースの2年間
2年間お世話になった教科書 |
ここで「2年間」というのに疑問を持った人もいるかもしれませんが、インテは基本的に2年間のプログラムです。
そもそも慶應の法政における第二外国語履修が求められるのが1、2年生なので、インテ自体も基本的に2年間とされています。
ただし、一応3、4年にもインテのクラスが存在します。これは強制力のない(卒業単位に含まれる必修外国語ではない)もので、フランス語をもっと学びたいという人が進むことができます。
※実際には1、2年のインテも半分が必修外国語、もう半分は選択外国語という扱いです。
また、4年間インテを取り続けると修了証がもらえるようです。
1年生
まずフランス語に関係ないことですが、大学は高校までと違いホームルームなどもないので入学後、サークルや部活を除いて特にオリエンテーションはありません。自分の履修したコマの時間に、その教室に向かうことになります。
そんな中、語学の授業は唯一週複数回のクラスが固定されるので、新入生同士仲良くなろうという雰囲気があります。もちろんこれはインテを選択しなかった週2のクラスでも同じことですが、インテの場合平日ほぼ毎日会うことになるのでクラスの輪は比較的縮まりやすい環境になります。私のクラスでも定期的に授業外の集まりが自然とできていました。
授業内容については週4回が3:1に分かれる形でした。3回は日本人講師による文法中心の授業。1回はフランス人のネイティブ講師とコミュニケーション中心の授業です。私のクラスの場合はフランス人の先生も日本語が流暢でした。
慶應独自のZOOMという名前の教科書を軸として、1、2年で2冊を学習しました。各章はダイアローグ、文法説明、練習問題へと続く文法シラバスが基盤となっていますが、会話で使えるような表現も随所に散りばめられていて、実用性と文法のバランスが取れた教科書でした。教科書自体はインテも週2クラスも同じものを使用していましたが、練習問題等をはじめとした追加の演習や発展的な内容を教科書以外のプリントなどを使って深めていくのがインテの特徴です。
1年目は発音から始まり動詞活用のオンパレードです。2学期間でこの1冊を終えました。
↓こちらのページから目次と最初の章が試し読みできます。
文法の授業では章ごとの小テストがあり、会話の授業では自己紹介を覚えたりするところから始まり1月には簡単な文章が自分で作れるようになりました。
成績は文法と会話それぞれの先生が担当に応じてつける形になっていました。
文法に関しては、定期的な小テスト(学期につき2、3回程度)と期末試験を総合的に見られて判断されます。この期末試験は小テストと違い、週2回の学生と同じ共通の試験を受けることになります。インテの学生は当然進みが早いので少し前に終えた内容までが試験範囲となり、基本的に点数がとりやすいテストでした。
会話の方は基本的に平常点の配点が高いです。出席することはもちろん、積極的に発言したりすることが重視されていました。こちらは先生によっても違うはずです。
上記に加え、インテに限らず語学の授業には必ず出席点があります。基準は学部によっても先生によっても異なる可能性があるので注意してほしいのですが、私のクラスの場合3回までの欠席は減点で許されたようでした。(これはかなり緩い方です)それ以上は落単に繋がる可能性があり、基本的に出席は必須です。
2年生
1年生の時クラスの学生数は30人ほどいましたが、実は2年目は7人になりました。基本的には2年間だとされているインテですが、実は1年が終わった時点で離脱が可能です。一応表向きには例外に分類されるようで、理由書(?)のようなものをメールで送らなければいけないようですが、申請すれば離脱が可能です。
離脱の理由はさまざまです。
離脱理由1:より柔軟なスケジュールが確保したい
インテは週4回授業があるので週4回はキャンパスに来る必要があります。一方で、他の授業に関しては選択科目次第で全休(履修クラスがない曜日)が作れたり自分で調整できます。
最初の1年間は、誰もが自由な大学生活の過ごし方を模索する時期です。授業をこなしながら何か趣味に没頭したり、部活やサークル活動に励んだり、資格の勉強を始めてみたりと、どのくらいの時間をどの分野に割くかが少しずつ自分の中で明確になってきて、各々がフランス語の授業にどのくらい生活のエネルギーを投入するかを決める時期となります。というわけで、必ずしも内容についていけないという意味ではなく、柔軟なスケジュールを確保する意味で離脱する人が一定数いました。
もちろん第二外国語自体は最低でも週2で必須なのでフランス語はもう一年続ける必要がありますが、それでも比較すると負担は軽くなります。
初めから離脱の予定で1年間のインテを選択する人もいます。その理由も人それぞれですが、フランス語に限らず、語学は最初の暗記やその言語に馴染むまでモチベーションを持って続けることが難しいので、1年目だけインテというのも語学学習の戦略としてありだと思います。
離脱理由2:内容についていけない
インテのクラスはやはり通常コースの倍のスピードで内容が進むので、人によっては理解や暗記が追いつかなかったりすることがあります。1年目はなんとか乗り切ったものの、2年目は他のところに時間を使うために余裕を持たせたいという人も多いと感じます。
※インテのクラスと言っても授業の回数が多いというだけで、説明が雑であるとか、飛ばし飛ばし進むとかではなく、1回の授業で学ぶ量は基本的に週2のクラスと同じです。なので、しっかり出席し、毎週時間をとって復習していくことが重要です。
2年目も1年目と同様に文法3:会話1で進んでいくのですが、人数が減ったこともあり会話の授業の質が超濃厚になりました。ダイアローグを暗記して発表したり、各授業内での発言回数も多くなり、出席していればフランス語力が上がらないはずがないというようなクラスでした。
もちろん復習や自習の時間も増えることになりますが、フランス語がどんどん上達するという感覚がありました。内容は濃いですが、1年目の単調な暗記を乗り切ったおかげで実際にフランス語を使っていける段階なので毎授業楽しさもありました。
文法の授業に関しても教科書の文章が長く複雑になってきたり、実際にフランス語を使って何かをするというのが見えてくるような内容でした。
↓2冊目の教科書もこちらで試し読みできます。
2冊目を終えるとフランス語の文法で体系的に学ぶべきものはほとんど学んだと言えます。
成績に関しては基本的に1年生の時と同じ形式でした。進みが早いとはいえ、真面目に出席して復習していれば単位を落とすことはないと思います。
3年・4年
私は3年生の後期からフランス留学に行ったので履修しませんでしたが、三田でも週4のインテを選択することができます。しかし必修外国語ではなく、授業のレベルが上がり、ゼミが始まり、就活も見えてくるといった要素が絡んでインテメンバーも解散の危機を迎えることとなります。三田の授業の内容はシラバス等で確認できますが、フランス語の文献を読んだりするものが多いようです。
1・2年のインテの内容をしっかり噛み砕いていけば基本的に自立して学習できるレベルにはなっています。3年生からは独学で進めるのもありです。
同時に、三田にはインテンシブコース以外にも文学部のフランス語の授業や、DELF対策の授業などレベルの高い授業があるので、自分のスタイルに合わせてフランス語の授業をとり続けることは可能です。
日吉キャンパスでのフランス語学習
授業外でもフランス語力を積極的に伸ばしたい人向けに、私の学習について軽く書きたいと思います。授業の内容を完璧に抑えるということは前提として、それ以外でも学ぶチャンスはたくさんあります。
まず日吉の図書館の3階の語学コーナーです。語学本がたくさんあって私は毎日のように通っていたのですが、フランス語教材の種類は豊富です。フレーズ集から長めのテキストが書いてあるものまで、片っ端から借りていきました。少し離れた語学資格のコーナーにはDELFや仏検の対策本も置いてあります。貸し出して家でやるのもよし、1階の受付横のCDを聴くスペース(いつも空いている)でリスニングをするのもよしです。また、ある程度文法が終わってフランス語の本に挑戦してみたくなったら3階の奥や4階の外国語本の棚で探すのもおすすめです。
また、もしフランス人留学生と交流の機会があれば積極的に会話練習仲間を作っちゃいましょう。留学生はどちらかというと三田の方が多い気がしますが、日吉でもフランス人はいます。
単位の上限を増やせる
ここまでは授業内容について紹介しましたが、慶應法政のインテにはフランス語の上達以外にもメリットがあります。
日吉では1年で48単位までの履修上限があります。ですが、インテンシブコースを履修することでその枠を52単位にまで広げることができます。
実際、履修上限までいっぱいに取ること(フル単)はそれなりに大変なのですが、実際に私は52単位を2年間履修しました。(まさかの必修で失敗し4単位を落としてしまったのですが)
そんなに1、2年で勉強してどうするのかと突っ込まれそうですが、私の計画は卒業単位数を見据えて早めに単位を稼いでしまおうというものでした。
特に、3年後期からの交換留学では、卒業単位に余裕があったことで留学先の授業科目は慶應
の単位として換算せずに、成績の心配をすることなく色々な科目に挑戦することができました。
実際に留学後も、よくある「単位的に4年間で卒業できるかギリギリ」というを回避できているのは1、2年でしっかり単位を取っていたからだと思います。
2年で8単位分というのは少ないと思う人もいるかもしれませんが、3・4年で授業のレベルが上がったり、忙しくなったりすることを踏まえると、見方によっては大きな差になります。
慶應法政インテはこんな人におすすめ!
- フランス留学を考えている人
最初は不安もありましたが、インテは初習でも本気でフランス留学が目指せます。実際2年で残った7人の中でも私含め2人が3年後期にフランス留学に行きました。他にも2人英語圏に留学したので意識の高いメンバーが多かったです。
- フランス語を話せるようになりたい人。何事もせっかくやるなら頑張りたい人
大学の第二外国語は、誰もが2年間必修で取ることになりますが、ほとんどの人がなんとなくで終わってしまいます。3年生の秋には全部忘れてしまっているかもしれません。テスト前になんとか暗記で乗り切ったり、出席点で成績が貰えてしまったり、挙句の果てにはカンニングで乗り切るなんて人もいます。必修というのはある意味、ほとんどの人が仕方なく取っているので自然とそういう環境ができるので楽はし放題です。
とにかく、大学という自由な時期には、自分の熱中できることを見つけてやるのが一番です。
それを踏まえた上で、もしフランス語に興味があって実際に自分の人生に今後取り込んで行きたいというのならば絶対にインテをお勧めします。もちろん、インテを選んだとしてもたかが週4日ですから、他のことはいくらでもできます。むしろ、インテをとっている人の方がいろんな面白いことに挑戦している気がします。
まとめ
今回は私の経験をもとに慶應法政のフランス語インテを振り返りました!色々な意見があると思いますが、とにかく大学では自分のやりたいことを最大限やって、いろんなことを学んでみればいいと思います。誤解を恐れず言うと、大学生活は必ずしも授業中心じゃなくてもいいということです。
もしインテについて何かご質問やご相談があれば、答えられる範囲で助けになれればと思うので下のコメントか問い合わせフォームよりお尋ねください!