渡航準備の全手順ガイド【ビザ・寮・奨学金】|フランス交換留学(3)
合格の喜び → 準備の山
出願という最初の大きな山を越え、次は現実的な準備の始まりです。
- 手続き
- 家探し
- ビザ取得
- 奨学金申請
- 荷造り
…などなど。
この記事では、留学決定から渡航までの約9ヶ月間に私が実際に行ったことを、できるだけ詳しく、時系列に沿って紹介します。
正式決定までは意外と暇
交換留学の仕組みについては前回の記事でも触れましたが、学内選考で決まる「候補生」は、あくまで協定校への本出願・正式決定の前段階です。
本出願は大学側が行うため、この期間は候補生が自分で動けることはほとんどありません。
また、学内出願時に「候補生として選ばれた場合は辞退や棄権は不可」という同意をしているため、基本的には問題なく入学許可が降りるのを待つことになります。
つまり、候補生に選ばれた時点で実質的にはほぼ決定ですが、多くの事務手続きは「入学許可証=lettre d'admission」なしでは進められないため、「正式決定」を待つ必要があります。
私の場合、入学許可証を手に入れたのは5月2日でした。
それまでは、
- フランス語の学習
- 確実に単位を取得すること
に集中。振り返ると、留学直前の3年春学期は単位・就活(次回詳しく書きます)・各種手続きでかなり慌ただしかったため、2年秋学期がゆったり語学や他の活動に時間を割ける最後の時期でした。
ちなみにオリエンテーションは12月初旬に数時間 Zoom で行われ、今後の手続きの流れに関する説明を聞きました。最後にはブレイクアウトルームで候補生同士の交流の時間もありました。
念願の入学許可証
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| やっと届いた正式決定メール(5月2日) |
メールでのやり取りが始まったのは3月7日。慶應の国際担当から推薦にあたって履修分野に関する最終確認を求められました。
年度が変わり春休みが終わる頃、4月4日に留学先のINALCOから「推薦されました」とのメールが届き、この時点で大学側の本出願は完了。
同時に、簡単なフォーム入力と以下の提出を求められました。
- 身分証明書(パスポートまたは身分証)
- 身分証明書用写真
- フランス語能力証明書
このフォームは基本的な情報入力のみで選考要素はなし。
また、この時点で寮手配の希望有無のチェックがあり、希望にチェックを入れていた私は、後に部屋確保の連絡をスムーズにもらうことができました。
そして学年が上がり新しいキャンパスにも慣れてきた頃、5月2日正式な入学許可メールが届きました。
学内選考結果〜正式決定 時系列まとめ
- 11月21日:学内選考合格
- 3月7日:履修項目確認メール
- 大学国際部による推薦
- 4月4日:INALCO推薦通知受領
- 5月2日:INALCOから正式決定メール(入学許可証=lettre d'admissionをゲット!)
学内選考合格時点でも意識は高まっていましたが、やはり「正式決定」の通知は特別。留学が現実にぐっと近づく感じがしました!
奨学金(JASSO)申請の流れ
多くの手続きは入学許可証がないと進められませんが、奨学金申請だけは例外で、正式決定前から動けます。
私が応募・受給したのは、返済不要のJASSO海外留学支援制度。
フランスは物価の高い地域に分類され、月額は最高額の10万円でした。
JASSO奨学金は、学内選考で候補生になった時点で申請資格が発生するため、正式決定前に申請可能。支給確定は正式決定後です。
スケジュール
- 4月上旬:慶応からの応募案内メール(本当にサポートが手厚い、、、)
- 4月26日:応募書類提出締切(選考は書類のみ)
- 5月末頃:採用結果通知
提出書類には、志望理由・学業成績・家庭の財政状況(所得証明書等)などが含まれました。
周囲では「家庭の経済状況の比重が高いらしい」との噂もありましたが、調べた限り確証は得られなかったので真偽不明です。。
受給後の義務
- 毎月の活動報告書提出(第一週)
- 留学終了後の報告書提出
活動報告書の提出を忘れると、その月分は支給されません。私は家賃支払いと同時にカレンダーでリマインダー設定していました。うっかり忘れそうな人は管理の工夫が必要です!
なお、交換留学生が利用できる奨学金は民間・公的機関含め多様です。実際に私の周りでは関西まで面接に行っている人もいました。ただし、併願不可のものもあるため注意が必要。慶應の場合、「慶應義塾大学交換留学生(派遣)奨学金」や「東京倶楽部国際奨学金」も同時募集されますが、JASSOとの同時受給は不可でした。
CROUS(寮)手配
7月2日にパリ五輪の影響で寮変更連絡があったものの、「希望」「承諾」の2ステップで全て大学側にやってもらいました。超ラッキーです。
私が入居したのは13区のCROUS運営寮で、
- 家賃:月395ユーロ
- 設備:シャワー・トイレ・簡易キッチン付き個室
- 立地:駅近で便利
CROUSはフランス全土にあり、留学生・現地学生ともに利用する人気の学生寮です。サイトから直接申込も可能なようで、実際にそうして寮を見つけている人もいました。自力で探さなければいけない方は頑張ってください!
入居までに、入学許可証・VISA・住宅保険などをメールで提出し、渡航前の時点でデポジット300ユーロをカードで支払いました。(退去時にフランス口座振込で返金)
ビザ申請
| 大使館入り口にて。レターパックプラス必須の文字に焦る。 |
大学から「パリ五輪で事務遅延の可能性あり」と連絡があり、早めに準備を開始しました。交換留学のため、ビザ申請における面接等は免除される仕組みでした。取得ビザは「長期学生ビザ」です。ちなみにこのビザでは週20時間の労働が認められています。なおパスポートがない場合は早めに作っておきましょう。
ビザ申請はCampus France の説明に沿って進めるのがおすすめです。細かい手続きに関してもこのサイトで説明されていましたので、私もそれを参考に進めました。まずはこちらから。
ざっくりと以下のような流れで進みました。
1、まずアカウント登録や情報入力をする(Campus Franceの Etudes en France)
2、入学許可証到着(5月2日)後にオンライン審査が可能に
3、オンライン審査完了後、大使館で対面のビザ申請(日時指定の予約が必要)
必要書類は明確に提示されますが、忘れ物があると再予約になるため早め到着必須。
私はレターパックプラスを忘れてしまったのですが、入口で近くのお店(HYOGOYA)を案内され徒歩3分で購入し間に合いました。遅れた場合は予約が容赦なくキャンセルされるようで、実際に遅れて別日に予約しなおした人もいたようです。
申請時にはパスポートに貼り付けられるVISA用写真が撮影されました。書類不備の問題等もなく、約1週間で提出したレターパックプラスの中にVISA入りのパスポートが郵送で到着しました。
⚠️渡航後にオンラインで「ビザ有効化」の手続きが必要です。「渡航後の手続き」にて解説しています。
保険
海外留学における保険は、単なる「お守り」ではなく、渡航条件や生活基盤の一部です。
フランス留学では主に次の2つが必要でした。
- 大学指定の留学保険(1年分)
- 医療費やケガ、盗難などに対応
- 留学先での緊急時にも日本語サポートが受けられるのが安心
- 大学が指定するため手続きは比較的シンプル
- 住宅保険(Assurance habitation)
- CROUS寮や民間アパートに入居する際、契約条件として必須
- 火災・水漏れ・盗難など部屋に関するトラブルをカバー
- 加入証明書を提出しないと入居できません
私の場合、CROUSからメールでおすすめされたADHという保険会社で契約しました。(サイトから)
その他の手続き
手続きの全体像はCampus France公式YouTubeが非常にわかりやすかったです。
- VISALE=家賃未払い時に保証してくれる制度。CROUSへの入寮に際して必要でした。
- CAF= 条件を満たせば、家賃の一部が補助されます。
- 長期学生ビザ有効化=渡航当日にオンラインで完了必須。これをしないと滞在資格が正式に有効になりません。
- sécurité sociale=フランスの公的医療保険制度。現地での医療費の一部払い戻しを受けるために登録します。3ヶ月以上の場合必要。
学内手続き
詳細は省略しますが、大学からのメールをきちんと確認していれば問題ありませんでした。
慶應の国際部はサポートが非常に手厚く、随時リマインドや個別チェックをしてくれました。
パッキングと持ち物の反省
| ポイントは部屋に何があるかを連絡して確認すること。 |
パッキングは色々ありますが一番大事なのは滞在する部屋に何があって、何がないかということを確認することだと思います。
CROUS部屋の備え付け(私の寮の場合)
- マットレス付きベッド(シーツや枕はなし)
- 机と椅子
- 棚
- キッチン、冷蔵庫
- トイレ、洗面所、シャワー
- ハンガー数本
- ゴミ箱
- 箒、塵取り
- シャワーカーテン
- カーテン
上記の情報を事前にメールで確認していたため、私は最低限の自炊道具(フライパン・まな板・その他調理器具、食器類、スポンジ)や、その他日用品(歯磨き、シャンプー系、室内用洗濯紐、ティッシュなど)を可能な限り詰め込みました。もちろん現地でも買えますが、物価は高いですし、行ってすぐの新学期はバタバタしたり周りとの交流の場が多かったりするので少し余裕を持たせる意味でも持っていって良かったと思います。
反省点は夏服を持ちすぎたことです。よく考えればわかった話ですが、9月〜6月滞在は秋→冬→春が中心である上、パリの冬は東京より寒く、10月にもなると結構寒かったので早めの防寒準備が必要です。
便利だった持ち物
- スーツケースの隙間に詰めたレトルト食品やスープ
- 激落ちくん(退去時の掃除用)
航空会社は台湾EVA航空で、預け荷物2個無料。大きめスーツケース2つ+リュック1つでかなりお得感がありました。ちなみに早めにチケットを取っておいたおかげで、飛行機代は7万円ほどだったと思います。(台湾乗り換えで、トランジットの7時間ほどを台北観光に充てられました)
現金はどれくらい持っていくべき?
パリではほとんどの場所でクレジットカードが使え、逆に現金不可の店もあるため、日常生活での現金使用頻度は低めです。
ただし、以下のようなケースでは現金が必要になることがあります。
クレジットカードの限度額が足りない時
知人間の直接取引(例:家具や家電の売買。私は電子レンジを現金で安く貰いました)
ヨーロッパ近隣国への旅行
スペインやイタリアなど現金文化が比較的残る国(特にローカルなカフェ、バー、市場など)ではユーロ現金が役立ちます。
両替の必要がある場面(スイスやイギリス、東欧の一部などのユーロ圏外に行く場合)
これらを踏まえると、常備用として300ユーロ程度持っておくと安心です。
旅行や大きめの買い物を予定している場合は、その分を上乗せして準備しましょう。
📝 渡航準備まとめ
✅ 入学許可証が届いたら即準備開始
✅ 手続きはテキパキ、メールは毎日チェック
✅ 荷造り前に部屋の備え付けを確認
✅ 秋学期スタートのパリ(北ヨーロッパ)は寒さ対策必須
👨💼次回予告
「就活と交換留学の兼ね合い」について、私の選択と考えられるパターンをすべて解説します。留学前に方向性をはっきりさせることが、中途半端に終わらせないための鍵になります。


