就活と交換留学の両立は?私が選んだ休学パターン |フランス交換留学(4)



交換留学は、大学生活の中でも特別な経験です。

しかし、留学時期によっては日本の就活スケジュールと丸かぶりすることがあります。これは多くの学生にとって、非常に悩ましいテーマです。

私自身も3年生秋学期〜4年生春学期にかけてフランスへ交換留学し、このスケジュール問題に直面しました。

この記事では、「休学パターン」を選んだ私の経験をもとに、準備の流れ・留学中の過ごし方・得られた学びを具体的に解説します。

交換留学と就活スケジュールは本当にかぶるのか?

IS=インターンシップ(仕事体験やオープンカンパニーとも)

まず、日本の就活スケジュールをざっくり整理するとこの通りです。
  • 3年夏〜秋:サマーインターン(事実上の早期選考開始)
  • 3年冬〜4年春:本選考(エントリー、面接、内定)

そして、大学の交換留学は3年秋〜4年春に行われるケースが多く、就活のピークと完全に重なります。

もちろん就活のイベントはオンラインのものも多いですし、はっきり言って全然両立も可能です。

とはいえ、私を含めた最近の交換留学生はこの状況の変化に応じて一昔前と異なる行動をとることも増えてきました。

この時期に留学する場合、主な選択肢は以下の4つです。

  1. 両立型(4年卒業&留学中に就活)
  2. 休学型(留学と就活を分離、卒業は遅らせない)
  3. 留年型(単位や時間に余裕を持って就活)
  4. 大学院進学型

私はこの中で、休学型を選びました。

※各パターンの特徴やメリット・デメリットは、こちらの記事で詳しく解説しています

2年生秋、就活の影が見え始める

慶應の場合、2年生の秋頃から就活の空気を強く感じ始めました。上級生の就活が本格化し、キャンパス内でも業界研究やインターンの話題が増えてくるからです。

さらに、文系学部では3年生から三田キャンパスへ移動するため、学内の雰囲気も「社会に近づく」感覚になります。

1年生の頃から長期インターンをしている人もいましたが、感覚的には2年の終わり頃から、平均的な慶應生が就活を意識して動き出すように感じました。

それまでの私は、「大学生活を楽しみ尽くす」スタンスでした。バイトでお金を貯め、長期休暇には海外バックパッカー旅。授業では語学・文化・政治・哲学を思う存分学び、将来のことはあまり考えていませんでした。

「シュウカツ」というイベントとの出会い

「ジュケン」のような大型イベントの経験から、こういう時の情報収集だけは早めにという意識があった私は、とりあえず就活サイト(外資就活.com、ワンキャリア、マイナビなど)に登録。説明会やインターン情報をチェックし始めました。

そこで知ったのは、次のような現実です。

  • 外資系やコンサルは3年生のうちに内定が出る
  • 経団連ルールは形骸化しており、多くの企業が早期選考
  • 主な活動は「自己分析」「業界分析」「企業分析」「面接対策」など

調べを進めるうちに、就活と留学スケジュールが丸かぶりすることがはっきりしました。

私が選んだ「休学型」



いくつかの説明会に参加したり、話を聞いて検討した結果、私は留学に集中するために卒業を半年遅らせる休学型を選びました。

休学型

  • 在籍期間:卒業単位は4年間で取得、卒業時期を半年後ろ倒し

  • 費用:4年分の学費+休学費6万円(半年)

  • 就活:卒業せずに半年休学し、新卒枠を維持

  • 年度調整:休学期間が半年でも卒業年度は1年分遅れるため、多くの企業で就活年度を1年ずらせる

  • メリット

    • 留学後に就活へ全力投球できる

    • 秋卒業後、就職までの半年間を自由に活用できる(※学部やゼミ等の関係でできない人も多い)


この決断に込めた意味

私にとって、この休学は単なる「先送り」ではなく、進路に真剣に向き合うための時間を確保する選択でした。

大学生活を通じて私は、「世間的に価値がある」とされることに全力を注ぐよりも、自分が納得できる価値ある事柄に本気で取り組むことを大切にしたいという思いを強くしてきました。

数か月だけ参加した就活からも、私は「キャリアの1社目は卒業後の自由な人生の幕開けであり、焦って決めるべきイベントではない」という感覚を得ました。学生という恵まれた環境を最大限に活かし、やり切った上で次のステップへ進むことが、成長や充実感につながると確信していました。

留学における「余裕」の価値

特に、留学という新しい環境への挑戦では、これまでの言語文化学習やバックパッカーの経験から、「余裕」を持つことが新しい発見や感性を育てる鍵であると分かっていました。限られた時間に計画を詰め込むのではなく、ある程度忙しい中でも生活や学び、思考を深め、人と会い、特に用もなく街に繰り出すためのスペースを確保することこそ、新しい環境の中での挑戦を実りあるものにすると考えていたからです。

このように、私の休学パターンは、時間と環境を意識的に設計し、自分の価値観と成長戦略に沿って選び取った一歩でした。


留学前にやったこと:サマーインターン

Photo by photoAC


留学中は留学に集中すると決めた上で、渡航1か月前の8月、同学年と同じ立場のふりをしていくつかのサマーインターンに参加しました。

理由はシンプルで、休学型でも就活の雰囲気を事前に知っておくことで、留学中の将来設計が格段にしやすくなると考えたからです。

特に、早めに経験しておくべきだと思うのは以下の5つです。

  • ES提出
  • WEBテスト
  • 面接
  • グループディスカッション
  • 対面インターン

夏のインターンは非常に競争が激しいため、大企業ばかりエントリーすると全てを経験できない可能性があります。私の場合は、あくまで雰囲気を感じることが目的だったので、挑戦的な企業は控えめに応募しました。

特に、テストセンター受験やグループディスカッションは、多くの人が就活本番で初めて経験するものです。早めに慣れておくこと、イメージを掴むことは大きなアドバンテージになります。

私はインターンやオープンカンパニー、仕事体験と呼ばれる対面イベントに2社参加しました。どちらも3日間のプログラムです。家では留学の荷造りをしつつ、暑い中企業オフィスまで足を運びましたが、非常に濃い経験ができました。

1社目はベンチャー企業で、3日目終了後には社長と会食をしながら直接話すという超貴重な機会もありました。非常にフランクな雰囲気で、仕事の話だけでなく生き方に関する話まで聞け、刺激的な時間を過ごせました。

2社目のインターンは渡航3日前まで開催されており、頭の中は半分フランスでしたが、それでも参加して良かったと思います。

ちなみに私は、同年代と一応同じ年に卒業するという建前で参加していたため、ややグレーな状況でした。しかし現在は、1・2年生からでも参加可能なインターンが数多くあります。そのような企業であれば問題はありません。

まあ、 そんなことで責められたとしても「それって経団連のルール通りにやっているんですか?」と突っ込みたくなりますが。お互い様ですね笑。


留学中に得た就活の「種」

パリの春。暖かくなり少しずつ人が外に出てくる。

就活を先送りにした場合、留学中は日本の就活から距離を置きますが、ふと将来を考える瞬間は必ず訪れます。

そして、場所が変われば感じることも考えることも変わります。

何気ない気づきが自分の将来の方向性をより明確にしてくれるかもしれません。

このとき、一度でも就活に触れ、基礎的な知識を持っているかどうかで、考えの深まり方が変わります。

就活というと「内定を取ること」に意識が行きがちですが、少し距離を置くことで、逆に見えてくるものが確かにありました。


留学中のOB訪問:フランス三田会での出会い

フランス滞在中、一度だけ慶應三田会(パリ)に参加しました。そこで駐在員の先輩と知り合い、後日オフィス訪問をさせてもらうことに。

現地での働き方やビジネス環境を直接聞けたのは、非常に貴重な経験でした。

留学中にOB訪問のチャンスがあれば、ぜひ挑戦してみてください。日本の「就活」という枠にとどまらない話が聞け、視野が一気に広がります。


留学を経て固まった就活の判断基準

留学を終える頃、私は自分が大切にしたい仕事選びの軸を整理しました。

ごく一部ですが紹介したいと思います。


現実性(福利厚生・住宅手当・海外赴任手当など)
商人気質性(裁量・現場感覚)
ワークライフバランス(副業や自由時間)
企業体質(企業文化、ノルマや転勤の有無)
国際性(海外とのやりとり、語学活用)
将来性のある業界(AIなどの変化)
国内依存度の低さ
社会貢献性


もちろん全てを満たす企業はありませんが、自分の価値観を言語化してから動くことは非常に重要です。

ちなみに「商人気質性」を加えたのは、パリでの散歩中に目にしたインド系・中華系・アラブ系ディアスポラの活動に影響を受けたためです。巨大な構造の一部として機械的に仕事をするよりも、もっと有機的で本来の商売の形に魅力を感じました。

このような気づきは、オンラインで面接や説明会に追われていたら得られなかったと思います。


最後に

留学中は多くの出会いや会話、新しい場所・体験を通じて、将来像が広がると同時に、日本にいた頃よりも自分の意志が明確になりました。

その結果、就活に対しても周りに流されず、将来の自分に責任を持てる選択ができると確信しています。

就活と交換留学が重なる場合、どのパターンを選ぶかは人それぞれです。しかし、留学に全力を注ぎたいなら休学パターンも有力な選択肢です。

もちろん休学費がかかったり、就職を遅らせることは全員ができることではありません。ただ、もし今悩んでいる人の中で「世間や周囲とのズレ」だけを理由に無理やり就活と両立させようとしている人がいたら、そんなに気にする必要はないと言いたいです。

  • 留学に集中できる
  • 卒業後のキャリアをじっくり設計できる
  • 就活前に人生の優先順位を整理できる

早めに情報収集をし、自分に合った戦略を選びましょう。


📑交換留学と就活まとめ

✅ 3年秋からの留学は早期化した就活と時期が被る
✅ 両立もできるが、休学という選択肢もある
✅ 休学を選んでも、早めの情報収集がおすすめ
✅ 留学中には将来や自分に関する気づきがたくさんある
✅ 決めるのは自分。責任をとるのも自分。焦らず納得できる決断を!

✈️次回からはいよいよ交換留学の本編。まずは、非常に重要な渡航直後の手続きからお伝えします。 

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