パリの食事生活【自炊・学食・外食のリアルな体験談】|フランス交換留学(8)
一方で、私は1年間の交換留学中、生活費を月平均700〜800ユーロに抑えることに成功しました。そのうち食費は月250〜350ユーロ程度。
もちろん節約の工夫は必要でしたが、不便や我慢ばかりではなく、むしろ料理初心者でも自炊中心の生活を築けたことが大きな収穫でした。その成功の理由のひとつは、家賃400ユーロ以下のCROUS寮に入れたこと、そしてもうひとつが「食生活の工夫」です。
今回はそんな「食事」の実体験を、自炊・学食・外食・節約アプリの活用までまとめてご紹介します。
17,4€(≒3000円)のお寿司。寮近所のスーパーにて |
自炊中心の生活スタイル|料理初心者でもやればできる
最初の方の自炊(栄養補給?)自炊が心配な方。このレベルでも生きていけます!笑 |
自炊を支えた5つのポイント
1. スーパーはLIDLを最大限活用
パリのスーパーはいろいろありますが、学生の味方といえばやっぱりLIDL(リドル)。CarrefourやMonoprixのような他の大手スーパーに比べて、値段が一段安く抑えられているので、学生や単身者の強い味方として親しまれています。特に肉や野菜、乳製品、冷凍食品、パン類はコスパがよく、日常的な買い物のほとんどをここで済ませていました。
例えば鶏肉は他のスーパーだと「え、こんなにするの?」と感じるくらい高いのに、LIDLなら少し安く手に入るので助かりました。牛乳やヨーグルト、パスタなんかもまとめ買いしてもそこまで財布に響かないので、自然と自炊の中心はここで揃えた食材になっていました。
私は毎週1回まとめ買いをして、冷凍庫にストックしておくのが習慣になりました。フランスでは日曜日にスーパーが閉まっていることも多いので、買い出しの曜日を決めておくと生活リズムが整いやすいです。
2. 「栄養素×満腹感」で献立を決める
最初は美味しそうなものをお腹いっぱいになるまで適当に食べていましたが、風邪を引いたり、肌が荒れたりしたことがあり、そこで意識するようになったのが5大栄養素のバランスでした。特に不足しやすかったのが野菜とタンパク質。フランスは乳製品が安いのでヨーグルトやチーズで補い、タンパク質は卵・ツナ缶を意識した上で、decathlonで粉のプロテインも飲むようにしてカバー。満腹感を得やすい炭水化物はパスタと米をバランスよく使うようにしました。
フランス人といて思ったのですが、というか若者だからかもしれませんが、友達と遊んで外出をしていると栄養バランスという感覚がなくなります。改めて日本の食習慣がいかに健康かを感じる場面が何度もありました。
3. とにかくシンプルに作る
料理初心者でそもそも複雑に作れないこともありましたが、意識していたことはとにかくシンプルに。コスパよく、時間をかけずに最低限の味で準備するということを重視していました。
焼く・炒める・煮るだけでも十分に食べられるし、毎日続けられるのは結局「簡単な料理」でした。もちろんここでレトルト食品も役立ちました。個人的に持っていって一番良かったと思うのは「プチッと鍋」でした。特に冬の寒い時期、どんな具材でも味わいながら落ち着ける時間が助かりました。
一人暮らしする留学生の多くがこのシンプルな自炊スタイルに落ち着くのではないかと思います。
4. ChatGPTを料理パートナーに
これは本当に役立ちました。具材を打ち込んで、「これらを使った簡単メニューある?」と聞けばすぐに提案してくれますし、「今日のメニューの栄養バランスどう?」と相談すると客観的に評価してもらえる。
味は食べればわかりますが、栄養の知識不足で見ても判断できなかったので助かりました。数ヶ月後にはAIに頼らず、栄養も考えた買い物とメニュー作りができるようになりました!
5. 和食にこだわらない(コスパ優先)
最初はどうしてもパスタやパンに馴染めきれない感覚がありましたが、だからと言って米や日本食材は現地で買うとかなり高く、続けていると食費が跳ね上がります。
結論、現地の食材や調味料でを使っているとすぐ慣れました。
典型的な自炊メニューと1日の食事プラン
ある日の食事プラン(例)
- 朝食:LIDLのパン・オ・ショコラ+フルーツ入りヨーグルト+バナナ+ナッツ
- 昼食:CROUS学食(3.3ユーロ)
- 夕食:主食(パン・麺)+肉・魚+副菜(野菜炒めなど)
このスタイルを基本に、たまに日本から持参したレトルトカレーや味噌汁を取り入れる形でした。特に留学初期は、味から得られる安心感が心の支えに。疲れて「今日は何も作りたくない」という日に、日本食を食べられるありがたさは想像以上です。
量の調整は慣れるまで大変で、初めの頃は鍋いっぱいにパスタを茹でて「三日分くらいある…」となったり、買い過ぎてしまったりしたこともありましたが数週間で自分に合う分量を掴めるようになりました。これもまた一人暮らしならではの学びです。
夕食は栄養バランスを意識しながら、LIDLの1ユーロもしない激安バゲットをスープにディップしながら食べたりもしてました!初期は米が恋しくて固すぎるバゲットを泣きながら食べてましたが、数ヶ月後には噛みごたえを味わうようになってました。人間の順応力ってほんと恐ろしい(笑)
外食のリアルな価格帯とおすすめ
これが本場のアラカルト! |
フランスは「外食が高い」というのはよく知られた話ですが、実際に暮らしてみると相場感が分かります。上には上がありますが、一般的な飲食店を考えると平均して15ユーロから25ユーロくらいが相場になりそうです。
観光気分で毎日のように外食していたら、確実に生活費が破綻するレベルです(笑)。私の場合はできる限り週1〜2回の外食に抑え、残りは自炊や学食でカバーしました。
学生向けおすすめ外食スポット
- ケバブ屋:7〜9ユーロでボリューム満点。留学生の強い味方。あちこちにある。
- Bouillon Chartier:老舗ビストロで、フレンチを気軽に楽しめる。前菜+主菜+デザートで15〜20ユーロ。週末夜はかなり並ぶので計画的に。パリに数店ある。
- 中華・アジア系食堂:13区・19区に多く、麺類や炒飯が5〜9ユーロ。日本の町中華のような気軽さ。本場のベトナム料理も多い。
- 大学周辺の学生食堂・カフェ:ランチセットが3〜8ユーロ。学割もあり、勉強の合間にも利用しやすい。
- Mangez et Cassez-Vous:パリ10区にある人気ハンバーガー店。フレンチらしいおしゃれな雰囲気だけど価格は学生でも手の届く範囲。「食べてさっさと出ろ」という店名も面白い。いつ行っても混んでいた。
- GFC Golden Fried Chicken:フランス版ケンタッキー的なフライドチキン店。夜遅くまでやっていて、お米たっぷりのインド料理も満足感あり。13区に二店舗ある。
外食は単なる食事以上に「友人との交流」「異文化体験」の場でもありました。週末に友達とアジア系食堂で麺をすすったり、フレンチを体験しに行ったりする時間は、留学生活の大切な思い出のひとつです。
CROUS学食×自炊の合わせ技が最強
ある日のCROUSの学食メニュー。メニューは日替わりでレパートリーも豊富。 |
留学生の食事事情を語る上で欠かせないのがCROUS学食。1食3.3ユーロという驚異の安さで、しかも量はしっかりあります。味は平均点程度ですが、コスパを考えれば十分。
私は平日の昼は学食を利用し、朝と夜は自炊というリズムを基本にしました。学食をベースにすると、自炊の回数が減るので精神的な負担も軽減されます。自炊100%だと疲れて続きませんが、学食と併用すれば持続可能。これが1年間を乗り切れた秘訣でした。
価格システムと注文方法
- 基本セット(主食+主菜+デザートなど)が3.3ユーロ
- ポイントを超える選び方をすると3.8ユーロなど追加料金が発生する
つまり、決められたポイント内なら自分の好きな組み合わせを自由に選べます。
例えば、軽めにしたい日は基本セットだけ、ガッツリ食べたい日はもう一皿追加、という具合に調整可能です。
いろんなCROUS学食を楽しむ
Cité Universitaireにある CROUS学食の土曜日限定ブランチメニュー↑ |
個人的に特に印象に残っているのが、セーヌ川に浮かぶ学食「Barge」です。
立地的には観光地並みの絶好の場所にありながら、メニューは他の学食と同じく3.3ユーロ。コスパを考えると驚きの環境でした。
Bargeでは川を眺めながら食事ができるので、学生にも人気の学食です。
便利アプリで食費を節約|Too Good To Go
「Too Good To Go」というアプリは留学生にとって救世主のような存在でした。飲食店やパン屋が閉店前に余った食材を格安で販売しており、食品ロス削減にもつながる仕組みです。
- パン屋の詰め合わせ:3ユーロでクロワッサンやバゲットが山盛り
- レストランの余り弁当:5ユーロ前後で主菜+副菜入り
私は週に1〜2回利用し、食費を浮かせながらフランスらしいパンを楽しむ生活を送っていました。特にクロワッサンが大量に入っている袋を引き当てた日は、数日間朝食が豪華になりました。